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【台湾】「恒春」完全観光ガイド #台湾 #恒春 #台灣加油

本記事は当ブログ管理人がこよなく愛する台湾最南部にある小さな街「恒春」の完全観光ガイドを銘打てるほど紹介する記事です。

動画版もよろしく

動画版の収益(詳細は動画概要欄)は台湾花蓮地震への寄付します。

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高雄から恒春へのアクセス

恒春へのアクセスは高雄駅付近の「高雄客運建国站」より長距離バスに乗っていくのが一般的かなと思います。
運賃は372元、約1800円程度になります。

「高雄客運建国站」
No. 79號, Jianguo 3rd Rd, Sanmin District, Kaohsiung City, 台湾 807

バスは6:00~22:00の間に1時間に1本のペースで発車する9188号線に乗ります。
台湾最南端の岬「鵝鑾鼻」を終点としたバスの途中に「恒春」で停まります。
高雄から恒春までは約3時間程度かかります。
途中休憩は無いのでトイレは事前に行きましょう。

セブンイレブンのすぐ横のバス停で降りることになる。

高雄に帰る際は写真の恒春バス停留所から乗る。
左側の建物はお土産屋さんだが海に行く旅行客のために海パンなどを販売している。

恒春とは

恒春とは台湾最南部にある小さな街になります。
街としての最大の特徴は1875年から1876年にかけて建設された恒春古城によって街のほぼ全体が現在でも囲われていること。
台湾における城は一般的に街全体を囲う壁のことで、日本の天守閣のようなものは存在しません。

この古城の上を歩くことが可能です。

恒春の歴史、恒春古城はなぜ建設された

恒春古城ができた経緯としては「牡丹社事件」が大きく関わっています。

ある日、琉球王国への納税の帰りだった宮古島の船が遭難しました。

台湾南東部に66名が漂流しましたが…

異民族の首を刈る台湾原住民によって50名以上殺害されました。

琉球王国は日本と清、どっちつかずの態度を当時取っていたのですが琉球王国を手中に収めたい日本は琉球王国側の立場に立ち、台湾島を支配していた清に抗議します。

清は「化外の民(管理不能な台湾原住民)が起こした事件だ」として抗議を突っぱねます。

日本はこの事件を起こした台湾原住民への懲罰…というか琉球王国へ恩を着せるために台湾への出兵を計画しました。
この計画、「本国が放置するから勝手に乗り込んで一部の民族を攻撃する」というイカれた計画です。

「あいつらのこと化外の民って言ったから、民族への攻撃であって清への攻撃じゃないよねー」ってガバガバ論理で計画が進みました。

ただし、日本国内も明治になったばかりで政治というものがガタガタでした。
「国内に注力しようぜ!」派が優勢だったので台湾出兵は中止になりました。

しかし、西郷隆盛の弟、西郷従道が準備していた軍を独断で引き連れ出兵を行いました。
後の展開を考えると西郷従道の暴走…とは言い切れないように感じます。

とはいえ、この台湾出兵には清どころか日本も驚きました。
ついでに清を半植民地化していたイギリスもビックリ。
懲罰という目的は果たしましたが、マラリアによって西郷軍も多数の死者が発生しました。

日清両国互換条款という日本に圧倒的に有利な条約が締結されました。
これは清を支配していたイギリスの仲介があったからです。

イギリス「台湾は正直、そこまで欲しくないけど敵国のフランスが台湾狙ってるっぽいな~、まぁだったら日本に味方して清を徹底的に苦しめて支配力を強めて、ついでにフランスもけん制したろ!」って感じだったんでしょうか

中国のウィキペディアともいえる百度百科には本条約は「不平等条約」と書かれています。
この手の条約は両国の言語で調べると理解が深まりますね。

この事件を受けて沈葆楨という大臣は恒春古城をはじめ台湾各地に防衛拠点を建設しました。
突然、出兵してくる日本とかいう野蛮な国に対しての牽制ですね。

この事件によって琉球王国が沖縄県になる琉球処分の流れが生まれました。

恒春古城西門

西門という割には割と北を向いていることがチェームポイントの西門。

西門のすぐそばには三山国王を祀る廟があります。
三山国王は中国大陸から移住してきた客家の方が信奉することが多い神様なので、清の防衛拠点のすぐそばの神様としてはピッタリですね。

この西門は恒春がロケ地の映画「海角七号」※で印象に残るシーンで使われています。
※日本では「海角七号 君想う、国境の南」というタイトルで公開

「海角七号」は配信サービスで配信されておらず、DVDを入手する必要があります。
入手性が悪く視聴するハードルが高いですが恒春を訪れる際は是非とも視聴しておきたい作品です。

恒春古城北門

西門と同じく自動車やバイクが通行可能な北門。
門の近くにはM41戦車が設置してあるのが特徴。
M41戦車は台湾に配備され、後継機であるM41D戦車は台湾で製造されました。

恒春古城東門

こちらは歩行者のみ通行可能な東門。
じっくり見たい人はこちら。

恒春古城南門

ロータリーのど真ん中に鎮座している南門。
他の3門と比べて豪華な意匠が見受けられる。
2006年の恒春大地震で損壊し2010年に復旧された。

猫がいた。南門に住み着いているのだろうか。

案内板の謎の記述

南門の案内板に「かつて恒春には鉄道が通っていた」的な文章が書かれている。
しかし、恒春には鉄道駅の遺構はない。

恒春の警察署は日本統治時代の建物を使っているのでぶっ壊された可能性は低そうだ。
仮に鉄道駅舎だけきれいさっぱり消すことができたとしても、線路すらもすべてきれいさっぱり消し去ることはできるだろうか?

日本統治時代の台湾鉄道の路線地図を確認すると恒春に鉄道は通っていないそうだ。
うーんではなぜ、「恒春にかつて鉄道が通っていた」という記載が?

結論になるがこの鉄道というのは台湾糖業の恒春工場のサトウキビ列車の可能性が高い。
ちなみに跡地は後述する恒春夜市の広場だ。

このサトウキビ列車はサトウキビを単純に輸送するだけでなく、地元の人が飛び乗ったりしていたそうだ。

恒春天后宮

恒春天后宮の前には狛犬が鎮座している。

一般的に台湾の廟の出入り口には石獅子が鎮座していることが一般的だが、ここは口が阿吽となっており狛犬となっている。
この狛犬は台湾統治時代に存在した恒春神社の狛犬がここに移設されたものである。

恒春天后宮の裏はサンゴ礁の山を活かした庭園だったようだ。

石碑公園

台湾統治時代の日本軍が設置した石碑が残されている公園、その名も「石碑公園」。

石碑は設置されているが台湾光復時に石碑の文字を削られたり、埋められたりして読めなくなっている。
なぜそこまでしたのに、ぶっ壊さなかったのかは謎。

猴洞山

恒春の街、かつての恒春城には猴洞山というサンゴ礁によって形成されている小さな山が組み込まれている。
中華圏では公共事業や大きな建造物は必ず風水に基づいた設計をするのだが、沈葆楨は恒春城の建設時に自然の気を司る”龍脈”としてこの山を組み込んだのだろう。

ちなみに日本統治時代にはここに司令部が設置されたようだ。

恒春夜市

毎週日曜日は恒春夜市が開催される。
小さな街の夜市だが賑わいはかなりのものである。
台北の夜市のような屋台、店舗半々の夜市ではなく100%屋台の夜市を楽しめる。

他の夜市では見られない屋台や遊具を拝めるのが特徴的。

ユニークな寿司がたくさん販売されていた。

味の感想は動画を観てほしい

寿司喰いパートからはじまるよ

レンタルバイク

「機車出租」と掲げた店舗はレンタルバイク店だ。

レンタルバイクを借りる際はJAFのオンラインサイトで取得できる
運転免許証の中国翻訳文、日本の運転免許証、パスポートの3つを提示を要求されることが多い。

国際免許証は使えないので注意が必要だ、また運転免許証の中国翻訳文は最長で2週間程度かかる場合があるようだ。

今回借りた「宏廸機車出租」では古いバイクなら400TWD/1日、新しいバイクなら500TWD/1日でレンタルできる。

台湾のバイクの大きな特長はサイドスタンドを出していてもエンジンが止まらない、ガソリン給油口はハンドル下にあることだ。

台湾のレンタルバイクは日本では一般的なガソリン満タン返しのルールは無いが、大体ガソリンが空っぽなのでまず給油する必要がある。
台湾のガソリンはオクタン価で表記されており、レンタルバイクなら”95″を給油すれば問題無いだろう。

スタッフ給油の際は「95(ジューシーウー)、加満(ジャーマン)」といえば良い(と思う)。

恒春の街から台湾最南端の岬「鵝鑾鼻」へはレンタルバイクで30分くらい走ったところにある。
基本的に一直線なので迷うことは無いだろう。

潮音寺

「鵝鑾鼻」からは第二次世界大戦時にアメリカの潜水艦によって多くの日本人が命を落としたバシー海峡を望むことができる。
台湾に流れ着いた日本人の遺体を供養した潮音寺というお寺がある。
観光地とは言い難いが今の平和の礎となったかつての日本人に思いをはせ、手を合わせに行くと良いだろう。

サイザル工業歴史展示区/梅花鹿

恒春はかつてサイザル麻という繊維産業で栄えていた歴史を持つ。
水に強い繊維であり、第二次世界大戦時には戦艦の係留のロープなど特需が発生した。

現在は化学繊維によってサイザル麻産業は消滅してしまったが、遺構や施設を無料で公開されている。

同施設には梅花鹿というタイワンニホンジカについての展示施設もある。
タイワンニホンジカというのは台湾地域固有種のニホンジカのこと。
一旦、野生は絶滅してしまったが台北動物園に純血種が居たため、そこから野生の数も復活を果たしている。

恒春には鹿専門の動物園「墾丁鹿境」がある。
(カピパラもいたけどね。)

出火特別景観区(閉鎖中)

恒春といえば地面から火が出ている不思議な光景を楽しめる「出火特別景観区」という公園があったのだが現在は閉鎖されている。残念。

恆春3000啤酒博物館

恒春の町はずれにビールの醸造所と博物館を兼ね備えた「恆春3000啤酒博物館」がある。
訪れた時はビールの醸造は行っておらず純粋な博物館になっていた。

とはいえ、世界のビールの歴史を学べる施設なので訪れる価値はある。

町はずれというと聞こえがいいが、野犬が全力でダッシュして歓迎してくれる荒れた道を行くことになるので歩いていくには注意が必要だ。

恒春グルメ「恒春蛋酥餅」

「恒春蛋酥餅」という時間によっては行列ができる屋台がある。
店には「葱油餅ではありません」「炸蛋餅ではありません」と書かれており、オリジナル料理であることをアピールしている。
蛋酥餅という字面からして「サクたまパイ」といったところだろうか。

ビックリするくらいサクサクの食感に台湾らしい濃厚な甘辛い味わいに卵の食いごたえがたまらない逸品でした。
1つ50TWDです。ぜひ。

近くに台湾かき氷屋さんなどが並ぶ。
コンパクトな恒春の街だから食べ歩きも楽しめる。

恒春共融遊戯場

恒春共融遊戯場というかなり新しめの公園がある。
子どもだけでなく大人が体を動かせるトレーニング遊具もあるため、夜はフィットネスのため運動をする大人も集う公園だ。

かなり難易度の高そうな運動を推奨されることもある。

ゲストハウスFunzpace

ゲストハウス「Funzpace」を利用した。
2泊で1260TWDとなった。1泊3000円程度かな。

ベッドはふかふかで寝心地が良く、建物全体から新しい木材の香りがするほど新しい建物だった。
ただし、施設内にゴミ箱が無かったので外に捨てに行く必要があったのがちょっと気になった。
それ以外は満足。多分、価格以上のゲストハウス。

猫が多い

恒春の街全体、猫がいる。
猫好きにはぜひ訪れてほしい街とも言える。
耳がちょん切られている猫もいるがそれは地域猫の証なので虐められているわけではない。

ただし、野犬も多いのでそちらには注意。